多くの謎を持つカメ

  • 2017.10.20 Friday
  • 14:23

多くの謎を持つカメ

 

 

トウ先生、有名な「兎と亀」の昔話は随分と古くから語られてきたそうですね。
 

そうですね。「兎と亀」の話はビザンチン文化圏で発祥し、その後アジア、アフリカ、アメリカへとひろまっていったそうです。カメといえば日本では「浦島伝説」も有名ですが、こちらは日本書紀に載っているほど古くから日本に伝わる昔話です。ところで、古代日本人の思考の中で、なぜカメと海中の楽園が関連付けられたのでしょう。

 

 

えてみればそうですね。何か理由があるのでしょうか。

 

海ガメの産卵では、ふ化した海ガメの子ども達は、誰に教えられたわけでもないのに一目散に海を目指して歩き始めます。一心不乱に海を目指す姿からは、海の中にはさぞ素晴らしいものが待っているに違いない、と思えてきます。きっと古代の人々にもそう思われたのでしょう。
海ガメの子どもが海を目指して行けるのは、光の反射する海面の明るさと、地面の上の明るさのちがいを感知しているからという説が有力ですが、まだはっきりとはわかりません。

 

 

ガメは産卵のときには生まれ故郷の浜に戻ってくるそうですね。大洋を大回遊しているというのに、何を頼りに故郷に戻ることが出来るのでしょう。

 

臭いの物質を道しるべにしている、太陽をコンパスにして行動している、一定の水温の海域を泳ぐようにしているなど、さまざまな説があります。しかし、いずれもまだ十分な解答にはなっていません。 「兎と亀」の話のなかで「どんくさい」動物とされているように、カメは運動面でも感覚面でも鋭いところは何一つありません。その目は視神経乳頭耳側に円形中心野を持ってますが、中心窩までは分化していませんから、視力もとりわけよくはありません。眼球は結構動きますが、視界はそれほど広くはありません。カメにとって唯一の特技といえるのが、いざというときに、首と手足を甲羅の中に引っ込めて身を守れることです。
 

 

「どんくさい」はずのカメが、どうやって大洋の大回遊を行い、生まれ故郷の浜に帰ってこられるのか、生まれたばかりの子ガメがなぜ一目散に海を目指していけるのか、まだ定説はないのですね。いずれはその謎を知りたいものです。

 

(原作:医学博士  武藤政春)

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