超音波で闇を見るコウモリ

  • 2018.05.11 Friday
  • 18:16


超音波で闇を見るコウモリ

 

 

トウ先生、休暇中に鍾乳洞に行ってきたのですが、上の方をコウモリが飛んでいるのが見えましたよ。コウモリはあんな暗い場所でよくぶつからずに飛び回れますね。

 

コウモリの顔を見たことがありますか?不格好に大きい耳、大きなひだを持つ分厚い鼻、溝の多いしわだらけの口、人間の美醜の基準では、醜の部類に入るでしょう。ところが、コウモリにとっては、この顔こそが命といってもよいのです。
1793年、イタリアの動物学者スパランツアーニは、放し飼いにしていたペットのフクロウが、真っ暗闇の中では周囲にぶつかってしまうことに気付きました。夜行性の動物なのになぜ、と思った彼は、試しにコウモリをつかまえ、真っ暗な部屋に放してみました。コウモリは周囲にぶつかることなく部屋の中を飛び回ります。試しに目をふさいでみても飛び回ります。次に耳をふさいでみると、今度は飛び回ることができません。なぜ目よりも耳なのか。彼はこの答えを見つけることが出来ませんでした。

 

 

の謎は後に解明されたのでしょうか?

 

その答がわかったのは145年も後の1938年のことです。ハーバード大学のピアース教授らが、コウモリは飛行中に口や鼻で超音波を発信し、その反響を耳で聞きとって、障害物やエサの存在を感知していることを発見しました。
超音波を発信するためには、どうしても大きなひだを持つ鼻と、しわだらけの口が必要であり、反響してくる音波を感知するためには大きな耳が必要です。コウモリの超音波システムは非常に精密に出来ていて、例えば2メートル離れた所にいる1センチメートルの大きさの虫でも感知できるといわれています。

 

 

の中で暮らすコウモリにとって目の役割を果たしているということですね。目そのものはあまり使わないのでしょうか。

 

コウモリにとって目が必要ないのかというと、そうではありません。コウモリが生息する洞窟の入り口を黒い板でふさいでおくと、帰ってきたコウモリはその板にぶつかってしまいます。超音波システムが作動していれば避けられるはずです。 コウモリは四六時中超音波を発しているのではありません。それは私達人間でいうと泣き叫んでいる状態と同じです。大声で何時間も泣き続けることは出来ませんね。多少明るいところや、慣れた場所では超音波を休ませ、その間は視覚に頼って活動しているようです。

 

(原作:医学博士  武藤政春)

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