コンタクトレンズの歴史
- 2018.10.30 Tuesday
- 09:45
コンタクトレンズの歴史
以前お話しいただいたメガネの歴史は、たいへん興味深いものでした。メガネ同様、コンタクトレンズも広く使われていますが、コンタクトレンズはいつ頃出来たのでしょうか。
眼鏡レンズには2つの欠点があります。眼鏡レンズが眼球から離れて存在していること、そして眼鏡レンズは顔面に固定され、眼球とともに動くものではないことです。この2つの欠点を解消するためには、レンズを出来る限り眼球に近づけ眼球とともに動くようにする、つまり角膜にコンタクト(接触)させればよいわけです。このような発想は19世紀中頃に生まれ、1920年代頃から実際に作られ使用されるようになりました。
そんなに以前から、コンタクトレンズは作られていたのですか。
ただ、当時のコンタクトレンズの原料はガラスであったため、割れやすく、割れると割面が鋭利になること、そしてそもそも角膜にキズがつきやすいなどの理由で、広く普及するには至りませんでした。
1940年代以降、プラスチック工業が発達し、これはガラスよりも割れにくく、角膜に対する刺激が少ないという長所を持っていました。これをレンズとして用いるようになってから、コンタクトレンズが爆発的に普及するようになったのです。
ハードコンタクトレンズのはじまりですね。爆発的に普及したということは、多くの人が目の見え方に悩んでいたのでしょうね。
特に強度の屈折異常や不同視を持つ人達にとっては、眼鏡では得られない「見やすさ」が与えられたわけです。ただ、一部の人達はその恩恵にあずかれませんでした。ハードレンズというものは、装用時にいくばくか異物感を伴うものです。その痛みに耐えられない人々は、結局「ハードレンズ」の恩恵に浴せなかったのです。
そこで、装用時に痛くないレンズの開発がすすめられました。こうして出来たのがソフトコンタクトレンズです。柔らかく痛くないソフトレンズにもまだ欠点はありますが、近年、ハードレンズ、ソフトレンズ両者の長所を取り入れたレンズも開発されてきています。
理想のコンタクトレンズのために、今もなお技術は進歩を続けているのですね。
(原作:医学博士 武藤政春)
- -
- -
- -