『二十四の瞳』英語でどう訳す?

  • 2018.12.22 Saturday
  • 16:50

『二十四の瞳』英語でどう訳す?

 

日久々に『二十四の瞳』を読み返しました。初めて手に取ったのは随分昔のことになりますが、感動が色褪せることのない作品ですね。

 

昭和三年、小豆島の小学校の分教場に赴任してきた大石先生と一年生十二人の教え子たちとの物語でしたね。昭和二十七年に発表された二年後に映画化されて空前の大ヒットとなり、海外にも翻訳、紹介されたと聞いています。

英語訳された『二十四の瞳』の題名については、なかなか面白い話があります。今日はその話をしましょう。

 

語にそのまま訳すと“Twenty-four pupils”などとなりますでしょうか?

 

“pupil”には二つの意味があります。一つは「生徒・児童」の意味、もう一つは「瞳・瞳孔」の意味です。もしも先の題名だとすると、「二十四の瞳」か「二十四人の生徒」の意味かはっきり分かりませんね。

以前、丸善の「本の図書館」館長に問い合わせ、教えていただいたところ、“Twenty-four eyes”という題名で、昭和三十二年に英訳出版されたということでした。「二十四の瞳」でなく「二十四の目」では多少文学の薫りが薄れるかもしれませんが、紛らわしいpupilという単語を使うのは避けたようです。

 

「二十四の目」ですか…確かに随分趣の違う題名になりますね。Pupilにはなぜ「瞳」と「生徒」という紛らわしい二つの意味があるのでしょう。

 

Pupilの語源は、ラテン語のpupillaです。pupillaという単語は、pupa(少女)、pupus(少年)の指小語(「小さい」を表す接辞のついた単語)で、もともと小さな子どもという意味です。それがなぜ瞳という意味にも使われるようになったかというと、眺める人の小さな像が瞳孔に映って見え、まるでそこに小さな子がいるように見えるからのようです。

翻って見れば、中国語である「瞳」は「目の童」と書きますし、日本語の「ひとみ」は「人見」のことです。発想は洋の東西を問わず同じであるようですね。

 

(原作:医学博士  武藤政春)

 

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