動物の出目、ヒトの奥目

  • 2019.02.25 Monday
  • 10:58

動物の出目、ヒトの奥目

 

トウ先生、わたしは少々出目のようなのですが、目にとって良くないでしょうか。

 

世の中には、出目の人、奥目の人、そしてちょうどいい人とさまざまいますが、特に悩んだり、気に病む必要はありませんよ。出目の利点は突出している分だけ視野が広くなることであり、奥目のいい点は奥に引っ込んでいる分だけケガをしにくいことです。出目の人は、自分は他の人より広々と見えているのだと思えばいいでしょう。

ヒトはもともとサルと同じように奥目の動物のようですが、脳が発達するにしたがって、脳の容積が増え、その分だけ眼球が前に押し出されて奥目であることが目立たなくなったようです。

 

物の場合は、奥目と出目、どちらが多いのでしょうか。

 

一般的に草食動物はひどい出目、肉食動物は軽い出目、そしてヒトとサルの霊長類だけが奥目のようです。これはそれぞれの目の役割からすると、非常に理にかなっています。

ウサギやウマなどの草食動物は、肉食動物から身を守るために、どの方向から敵が来てもすぐ発見し、逃げなければなりません。草食動物の目は顔の側面について出目なので、ほぼ360度の広い視野を得ています。

 

食動物も出目ということですが、肉食動物にとっての利点は何ですか?

 

獲物を追いかける側の肉食動物は、自分の前方正面がよりよく見えること、しかもある程度視野が広いことが必要です。ですから、目は顔の前面についていますが、両目は軽い出目で少し斜視のように完全に正面でなくて外を向いています。一般的に動物にとっては、より広い視野を得ることが目の大きな役割です。出目であることは大変好都合なのです。

 

トは奥目の動物ということですが、その方がヒトにとって好都合なのでしょうか。

 

私たち霊長類が他の動物と大いに違う点は、上肢(手)が自由に使えることです。手先の仕事をするには手元がよく見えなければなりません。ヒトの目は顔の前面に並んでついていて、手元や正面を両方の目で見るようになっています。広い視野を得ることは目の配置上困難ですから、今さら出目である必要もなく、ケガをしにくい奥目になっているのかもしれませんね。

 

(原作:医学博士  武藤政春)

 

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