世界が恐れた眼病とは 〜トラコーマの歴史(1)〜

  • 2019.03.27 Wednesday
  • 14:07

世界が恐れた眼病とは 〜トラコーマの歴史(1)〜

 

っかり花粉症にやられてしまって目が痒いです。この時期は辛いですね。

 

私のところにみえる患者さんたちも随分辛そうですね。しかし正直な所、花粉症の患者さんを相手にしている分には気が楽なのですよ。間違っても失明に繋がる病気ではないからです。少し以前の眼科医が、失明の恐怖に曝された患者さんと共に、トラコーマと戦っていたことを考えれば、ずっといいですよ。

 

ラコーマについてはあまり知らないのですが、どのような眼の病気なのでしょうか。

 

トラコーマはトラコーマ病原菌による伝染性の眼の病気で、非常に強い結膜炎を起こし、やがて角膜にも濁りを生ずると失明することもある病気です。戦前の日本では失明原因の第一位を占め、大いに猛威を振るった疾患です。

 

ろしい病気ですね。トラコーマはどのような由来の伝染病なのですか。

 

トラコーマは元々エジプトやメソポタミア地方の風土病でした。これが8世紀以降、イスラム帝国の成立および、チンギス・ハンの大遠征で西はスペイン・ポルトガル、東は中国まで広がっていったのです。15世紀から16世紀にかけては、スペイン人やポルトガル人の探検家たちによって、新大陸へとトラコーマが伝播されていきました。

そして19世紀、ナポレオンのエジプト遠征により多くの兵士がトラコーマにかかり、彼らの帰国によりイギリス・フランスにもトラコーマが蔓延することになったのです。

 

ラコーマの伝播には戦争が大きく絡んでいるようですね。

 

トラコーマにはmilitary ophthlmia(軍隊眼炎)という別名がありますが、まさに言い得て妙ですね。ナポレオンの戦争時、イギリス軍のある大隊では、兵士700人のうち636人がトラコーマにかかり、そのうち両眼失明した者50人、片眼失明した者40人に及んだといわれ、その伝染力のすごさがうかがえます。

 

当に恐ろしいことですね…。そのようなトラコーマが日本に伝わった時のことを、次回ぜひお聞かせください。

                      

(原作:医学博士  武藤政春)

 

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