「目」と「眼」何が違うの?2/2

  • 2016.08.26 Friday
  • 16:33

「目」と「眼」何が違うの?(2)

 

 
回は、「目」という字の使われ方の幅広さを見てきましたね。

 

もう少し「目」の使われ方を挙げてみましょうか。

「項目、目次」…こわけ、分類の意

「目方」…重さの意

「〜番目」…順序の意
「ひどい目にあう」…めぐり合わせの意
「結び目、折り目」…端と端、縁と縁の合うところの意
こうして見ると、「目」という字は本来の「めだま」という意味よりも他の意味合いで使われることの
方が

むしろ多いかもしれませんね。

 

 

生、そろそろ最初の問題に戻りましょう。
「目」と「眼」、二つの漢字があるのはなぜなのでしょうか。

 

私はこう考えます。当初は「め」を表す漢字も「目」一つだけでしたが、それが余りにも幅広い使われ方をするようになり、本来の「めだま」の意味がやや薄くなってしまった…。そこで、「めだま」だけに限った意味を持つ字「眼」という字が作られ、使われるようになったのではないでしょうか。「眼」の字のつくりの「艮」は「かぎる」という意味を含んでいます。つまり「眼」という字は「目にかぎる」という字なのですよ。

 

 

るほど!
「目」は幅広い意味を持つ字、「眼」は「めだま」専用の字というわけですか。

 

実際には、字が作られてから年月がたっているせいか「眼」も他の意味合いに使われたりもしていますが。それにみなさんにはやはり「目」の方が馴染みがよいのでしょうか。「めの愛護デー」などのポスターを見ても「目の愛護デー」と書かれていますね。

 

 

っかく専用に作られた「眼」の字、もう少し活用してもいいかもしれませんね!
 

(原作:医学博士 武藤政春)

「目」と「眼」何が違うの?1/2

  • 2016.08.26 Friday
  • 16:32

「目」と「眼」何が違うの?(1)

 

 

トウ先生、「め」を表す漢字に「目」と「眼」の二つがあるのはなぜですか?
「くち」は「口」、「はな」は「鼻」というようにそれぞれ一つしかないのに、「め」だけがなぜか二つありますよね?

 

それは、使われる意味の広さからくるようです。「目」「口」「鼻」はその部分を表すほかに、様々な意味に使われますね。「口」は「出入口」のように「穴」の意で使われたり、「人口」のように人数を数える単位で用いられたりします。「鼻」も地名で「岬のように突き出た所」の意で用いられることがあります。しかし「目」という字の使われ方はもっと幅広いんです。例えば何があるでしょう?

 

 

うですね…サイコロの「目」とか?           

 

「目のような物=穴状のもの、形が目に似ているもの」という意味に使われた例ですね。「網目、針目」なども同様です。面白いことに、実は英語でもホック止めの穴に対して「eye」が使われることがあります。

 

 

「eye」も「目」のようにいろいろな意味で使われているんですか?                                                                                                  

両者の使われ方はとても似ています。なかなか興味深いと思いませんか?もっと例を挙げてみましょう。たとえば「目的」。「目の行く場所=めざす所」という意味に使われています。英語でも、「〜をする目的で」というのに「with an eye to〜」といいます。「法律家の目からすると…」のように「物の見方、見解」という意味もありますね。英語でも誰それの見解というのに「in ones eyes」という言い方をします。

 

 

に関係なく、人にとって目というものがとても関心の高いところだからでしょうか。

 

“目のつけどころ”がいいですね!このように英語の「eye」も幅広い使われ方をしていますが、「目」はさらに幅広い意味合いを持っています。次回、「目」の使われ方をもう少し見てみましょう。「眼」という字がなぜあるのかについても、わかってくると思いますよ。

 

(原作:医学博士  武藤政春)

日本人と目薬

  • 2016.08.24 Wednesday
  • 14:03

日本人と目薬  目薬の歴史(2)

 

 

回は世界の目薬の歴史を教えていただきましたね。

では先生、日本ではいつから目薬が使われていたのですか?

 

室町時代のある貴族の日記に目薬の記述があります。少なくともこれ以前から一部では使われていたのでしょう。そして江戸時代には一般町民にまで広まっていたようです。江戸時代前期の浮世草子『御前義経記』に「二階から目薬をさす仕掛け、さりとは急な恋ぞかし」という文章が見られます。

 

 

「二階から目薬」って言いますよね!日本の目薬の材料は何だったのですか?

 

定かではないのですが、目薬の木や目薬花などが色々な地方に現存していることから、これらの樹木の樹脂が主に用いられていたと思われます。明治維新後、眼科医の井上豊太郎氏がミュンヘンに留学し、ロートムンド氏に師事しました。井上氏が帰国後、師の名をとって『ロート目薬』を売薬目薬として処方したのが最初の西洋風目薬です。

 

 

在の日本では、実に多くの目薬が売られていますね。

 

今日の日本は、売薬目薬の花盛りの観がありますね。これは古代ローマ時代を思わせます。古代ローマでは、“あらゆる眼病に効く目薬”など銘打った目薬が盛んに作られ、高価な値段で買い求められていました。しかし、すべての病気に効く薬などありえないことは、おわかりですよね。

 

 

ういえば、目薬については、すべての目の症状に対して何となく使っているような気がします…。風鈴

 

一口に目薬といっても、飲み薬と同様に色々な種類があります。病気や用途によって使い分けましょう。やみくもに濫用していたら、ユーフラテス川の水をありがたがってつけていた古代人となんら変わりはありませんよ。

 

 

(原作:医学博士 武藤政春)

 

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    人類最古の目薬とは?

    • 2016.08.19 Friday
    • 15:31

    人類最古の目薬とは?目薬の歴史(1)

     

    の乾燥や疲れ…つらいですよね。目薬が必需品!という方は多いのではないでしょうか。

    そういえばムトウ先生、目薬って一体いつからあるのでしょう?

     

    人類最古の目薬の登場は、紀元前3000年頃。メソポタミア文明のユーフラテス川の水です。病気には聖なる川の水をかけることが治療法であり、眼の病気なら眼に水をかけたのです。薬らしい目薬が作られたのは、紀元前1500年頃のエジプトです。

    当時、薬の材料に使われたのは、乾いた大便、小便、ブタの胆汁、カメの脳、牛乳、樹脂、ハチミツ、ロクショウ、硝石、赤鉛、アンチモン、亜硫酸銅などです。このうちいくつかは目薬としても用いられました。

     

     

    お…すごい材料ですね。他の国にも目薬はあったのでしょうか。

     

    古代インドでも、古くから目薬が使われていたようですが、記録が確認できるのは紀元前5〜10世紀以降です。それによると、山羊の乳、人乳、牛酪、蜂蜜などを基材にして、これに植物性薬剤(アルトア、糖、コショウの実など)や鉱物性薬剤(鉄、銅、硫黄、アンチモンなど)を溶かしたものを使用していたようです。

     

     

    ちらもすごい材料ですね。一体それは効いたのでしょうか?

     

    どれだけ薬としての効果を持ち得ていたかというとはなはだ疑問ですね。本当に確かな薬効を持つ目薬が登場してくるのは、19世紀以降です。19世紀にアトロピンやピロカルピンなどの瞳孔に作用する目薬が開発され、20世紀に抗生物質やステロイドなどの点眼薬が開発されました。

    ようやく目薬が眼病の治癒に貢献できるようになったのです。

     

     

    当にありがたいですね!そうすると…日本で目薬が使われ始めたのもその頃ですか?

     

    いえいえ、実は日本の目薬の歴史は室町時代にさかのぼります。では次回は、日本の目薬の歴史をみてみましょう。

     

    (原作:医学博士 武藤政春)                                                                 

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