スイッチバック進行が可能に?イカの目
- 2016.11.22 Tuesday
- 16:25
スイッチバック進行が可能に?イカの目
ムトウ先生、イカって不思議な形をしていますよね。なぜ体の中央に目があるのでしょう。
普通の動物は、頭の下に胴があり、その胴に手や足がついていますね。イカやタコは「頭足類」と呼ばれ、内臓を収めた胴体が一番上に、その下に頭が、そして手足は頭についています。実はその目は大変高度な視覚を持っています。無脊椎動物の中で脊椎動物と同じように、水晶体、網膜というカメラの構造の目を持つ唯一の動物なのです。
そうなのですね!優れた視覚はどのように役立つのでしょうか。
普通、動物の動く方向は一方向で、目はその進行方向についています。大多数の動物は、頭が進行方向の先端にあり、そこに目がついています。しかしイカやタコは、動く方向が一方向ではありません。獲物を襲うときは足の方から向かって進み、敵から逃げる時には胴の中に含んでいる水をロケットのように噴射して胴を先頭にして逃げます。スイッチバックの列車のように、先頭方向をその都度切り替えて動く動物なのです。その目も中央にありますから、どちらに向かうときでも目配りをすることが出来るのです。
目が体の中央にあるというのは、イカやタコにとって実に便利な状態なのですね。
イカとタコは、周囲の状況に応じて体色を変えたり、逃げる時にスミを吐くといった同じような習性を持っています。一方で、イカは光を好み、タコは暗い所や狭い穴蔵を好むという正反対の習性があるのは面白いですね。
だからイカ漁のときには漁船に明るい照明を灯すのですね。
イカ漁では集魚灯が用いられ、タコ漁ではタコ壺が使われますね。ただ、イカが本当に光を好んで集まるのか、あるいは明るい所にはイワシやサンマなどのエサの魚が集まるからなのかについては議論があります。
それにしても、体の構造では精一杯の工夫をしているかのように見えるイカやタコですが、いつも同じワナにかかってしまうのですから、知恵の方はもう一つなのかもしれませんね。
(原作:医学博士 武藤政春)
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