地球から消えた恐竜の目

  • 2018.05.22 Tuesday
  • 17:26

地球から消えた恐竜の目

 

 

トウ先生、恐竜展を見てきましたよ。太古の時代に生息していた恐竜に思いをはせると、子どもでなくともワクワクするものですね。

 

本当にそうですね! 1822年、イギリスの開業医であり化石収集家であったマンテルは、不思議な形の歯の化石を見いだし興味を抱きます。当時の専門家たちは「サイの歯」と考えましたが、その一帯からさらに化石が発見され、その骨格は現存するどの動物にも該当しないことがわかります。歯はイグアナの歯に似ているがずっと大きな動物であるため、その動物は「イグアノドン(イグアナの歯)」と名付けられます。その後これに類する化石が世界各地で発見され、この生物は「Dinosauria(恐ろしい爬虫類)」と命名されたのです。
現在知られているように、恐竜は2億年から6500万年前頃まで地球上の覇者として君臨し、6500万年くらい前に突然絶滅します。絶滅の原因は諸説ありますが、決定的なものとはなっていません。

 

 

のような大きな体ですから、目の視力も相当に良かったのでしょうね。恐竜

 

恐竜はすべて絶滅しましたから、実際の生態やどんな目を持っていたか、全容を解明することはできません。しかし化石からは、脳の大きさや目の位置などを知ることはできます。その歯を見れば草食性か肉食性かがわかります。プロントサウルスやイグアノドンなどは草食性で、体の大きさに比べて脳も目もあまり大きくはありません。したがってそれほど視力は鋭敏ではなかったようです。

 

 

食性の恐竜はどうでしょう。狩りをするので視力も優れていたのではないでしょうか。

 

ティラノサウルス、ディノニクスなどの肉食恐竜は、頭蓋骨も大きく、眼窩も大きいので、より大きな脳と目を持っていたはずです。目も顔の前面に並んでついているので、両眼視機能もよかったと考えられます。
恐竜の中で特に大きな目を持っていたのが、オフタルモサウルスです。オフタルモは目の意味ですから、その特徴からこの名がつけられたのでしょう。オフタルモサウルスは魚竜として非常に進化した恐竜です。薄暗い水中でエサをとるのにも十分役立ったことでしょう。

 

 

竜がどのような目をしていて、その目がどのような能力を持っていたか、考えると実に興味深いです。科学のテーマとして非常に面白いものの一つですね。

 

(原作:医学博士  武藤政春)

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    超音波で闇を見るコウモリ

    • 2018.05.11 Friday
    • 18:16


    超音波で闇を見るコウモリ

     

     

    トウ先生、休暇中に鍾乳洞に行ってきたのですが、上の方をコウモリが飛んでいるのが見えましたよ。コウモリはあんな暗い場所でよくぶつからずに飛び回れますね。

     

    コウモリの顔を見たことがありますか?不格好に大きい耳、大きなひだを持つ分厚い鼻、溝の多いしわだらけの口、人間の美醜の基準では、醜の部類に入るでしょう。ところが、コウモリにとっては、この顔こそが命といってもよいのです。
    1793年、イタリアの動物学者スパランツアーニは、放し飼いにしていたペットのフクロウが、真っ暗闇の中では周囲にぶつかってしまうことに気付きました。夜行性の動物なのになぜ、と思った彼は、試しにコウモリをつかまえ、真っ暗な部屋に放してみました。コウモリは周囲にぶつかることなく部屋の中を飛び回ります。試しに目をふさいでみても飛び回ります。次に耳をふさいでみると、今度は飛び回ることができません。なぜ目よりも耳なのか。彼はこの答えを見つけることが出来ませんでした。

     

     

    の謎は後に解明されたのでしょうか?

     

    その答がわかったのは145年も後の1938年のことです。ハーバード大学のピアース教授らが、コウモリは飛行中に口や鼻で超音波を発信し、その反響を耳で聞きとって、障害物やエサの存在を感知していることを発見しました。
    超音波を発信するためには、どうしても大きなひだを持つ鼻と、しわだらけの口が必要であり、反響してくる音波を感知するためには大きな耳が必要です。コウモリの超音波システムは非常に精密に出来ていて、例えば2メートル離れた所にいる1センチメートルの大きさの虫でも感知できるといわれています。

     

     

    の中で暮らすコウモリにとって目の役割を果たしているということですね。目そのものはあまり使わないのでしょうか。

     

    コウモリにとって目が必要ないのかというと、そうではありません。コウモリが生息する洞窟の入り口を黒い板でふさいでおくと、帰ってきたコウモリはその板にぶつかってしまいます。超音波システムが作動していれば避けられるはずです。 コウモリは四六時中超音波を発しているのではありません。それは私達人間でいうと泣き叫んでいる状態と同じです。大声で何時間も泣き続けることは出来ませんね。多少明るいところや、慣れた場所では超音波を休ませ、その間は視覚に頼って活動しているようです。

     

    (原作:医学博士  武藤政春)

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      ノアの方舟に似た眼病とは 〜聖書と眼病(2)〜

      • 2018.05.01 Tuesday
      • 14:25

      ノアの方舟に似た眼病とは 〜聖書と眼病(2)〜

       

       

      回に続き、聖書から連想される眼病についてのお話ですね。

      旧約聖書の「創世記」6〜9章には、ノアの方舟の話が出てきます。暴力や不正が横行し、世の中がすっかり乱れた様子を見て、神は人類を作り賜うたことを後悔し、これを絶滅せんと考えました。唯一人ノアだけは正直に神を敬い生活していたので、神はノアだけは助けようと思い、ノアに命じて一隻の舟を作らせます。これにノアの家族および全ての動物のひとつがいずつを乗船させました。しかる後、40日間に及ぶ大嵐を起こし地上に大洪水を起こして方舟に乗っていた者たち以外を絶滅させてしまったという話ですね。

       

       

      名な話のひとつですね。これに似た眼の病気とはどのようなものでしょうか。
      ノアの方舟の場合、神は舟が出来上がるのをきちんと待っていてくれたわけですが、もし舟が出来上がる前に大嵐を起こしてしまったとしたらどうなったでしょう。正にそのような状況と考えられる目の病気に未熟児網膜症があります。
      眼球の網膜は母胎内で10ヵ月かかって完成するスケジュールになっています。それが妊娠7〜8ヵ月頃に早産で生まれてしまうと、未完成の網膜が外界の光という大洪水の中で大急ぎで舟(網膜)を完成させようとし、そのあせりが網膜に異常な反応を引き起こしてしまうことになるのです。

       

       

      界の光という大洪水とは言いえて妙ですが、未熟な網膜にとっては大変なことですね。

       

      方舟(網膜)が完成するまでは、洪水(出産)を起こさないように、神様(両親)は充分気をつけてあげなければならないでしょう。
      聖書に載っている話は、現代の我々にとっても色々と教訓になるものが多いように思います。

       

      (原作:医学博士  武藤政春)

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